スーパーに並ぶ野菜や果物、その3分の1はミツバチがいなければ存在しなかった——そんな衝撃の事実を知っていただろうか。5月20日は国連が定めた「世界ミツバチの日」。体長わずか1〜2cmの小さな虫が地球の食卓を守っている、その驚きの話をしよう。

世界ミツバチの日って何?
「世界ミツバチの日」は2017年12月の国連総会で制定された、比較的新しい国際記念日だ。5月20日という日付は、近代養蜂の先駆者とされるスロベニア人のアントン・ヤンシャ(1734年5月20日生まれ)の誕生日にちなんでいる。
スロベニアはミツバチとの関係が深い国で、養蜂が国民文化として根付いている。人口200万人強の小国ながら、国連に対してこの記念日の制定を働きかけ、2017年に見事に実現させた。小国が世界を動かした、なかなかかっこいい話だ。

ミツバチが担う、知られざる大仕事
国連食糧農業機関(FAO)の調査によれば、世界の食料の約9割を占める100種類の主要作物のうち、7割以上がミツバチなどの花粉媒介者によって受粉されているという。
もっとわかりやすく言うと、私たちが食べる食料の約3分の1は、ミツバチたちの働きがなければ生産できないのだ。イチゴ、りんご、アボカド、アーモンド……これらはすべてミツバチが花粉を運ぶことで実をつける。
ミツバチは1回の採蜜飛行で50〜100輪の花を訪れ、体に花粉をつけながら次の花へと移動する。この地道な作業が、私たちの食卓を豊かにしているのだ。

ミツバチはいま、絶滅の危機にある
ところが、その大切なミツバチが急減している。世界のミツバチを含む花粉媒介生物の40%が絶滅の危機にさらされているといわれている。
原因はいくつかある。
① 農薬・殺虫剤の影響
農業で使われる一部の殺虫剤がミツバチの神経系にダメージを与え、方向感覚を失わせたり免疫力を低下させたりする。巣に帰れなくなってそのまま死んでしまうケースも多い。
② 気候変動による花のズレ
気候変動によって植物の開花時期がズレ、ミツバチが活動する時期と合わなくなってきている。花がない季節に目覚めてしまったミツバチは、餌を得られずに死んでしまう。
③ 生息地の減少
農地の拡大や都市化によって、ミツバチが巣を作る場所や蜜を集める花が減っている。多様な植物が育つ里山や草原は、ミツバチにとっての「命綱」だ。

はちみつ1瓶の裏側にある、途方もない苦労
ここでハチミツの話をしよう。スーパーでよく見かける200g入りのはちみつ1瓶を作るために、働きバチは約200万輪の花を訪れる必要があるといわれている。
さらに驚くのは、1匹の働きバチが一生をかけて集めるはちみつの量が、なんとティースプーン約1杯分(5g程度)だということだ。しかも、花から集めた「生みの蜜」は水分が多いため、巣の中で濃縮・乾燥されると、実際に食べられる“はちみつ”としては、さらに減ってティースプーン1杯よりわずかになる。ひとつの瓶を満たすだけで、何千匹もの働きバチの一生が費やされている計算になるのだ。
朝のトーストに塗るはちみつのひとすくい。その裏側に、無数のミツバチたちの奮闘がある。

身近なところでミツバチを守るには
「ミツバチのことが心配になってきた」という人に、日常でできることをいくつか紹介しよう。
- 庭やベランダに花を植える:ラベンダー、ローズマリー、クローバーなどはミツバチが大好きな植物だ
- 国産のはちみつを選ぶ:日本の養蜂家を支援することで、地域のミツバチ保護にもつながる
- 農薬の使いすぎに気をつける:家庭菜園では、できるだけ農薬を少量に抑える

まとめ:小さな虫が支える大きな食卓
体長わずか1〜2cmのミツバチが、地球の食料生産の3分の1を支えている。この事実を知ったとき、スーパーに並ぶ野菜や果物の見え方が少し変わるのではないだろうか。
5月20日の「世界ミツバチの日」は、私たちが普段気にも留めない小さな命に目を向けるきっかけだ。ミツバチたちがいなければ、食卓の3分の1は空になる。そう思うと、庭に飛んできた1匹のハチを、もう少し温かい目で見てあげたくなるかもしれない。

感謝


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