「あいすくりん」1個8000円!明治のアイスクリーム誕生秘話

○○の日
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え、アイスクリームって1個8000円もしてたの?

今のコンビニでは100円台で気軽に買えるアイスクリーム。でも約150年前の日本では、1個あたり現在の価値で約数千円〜8000円もする超高級スイーツだった。しかも当時の名前は「アイスクリーム」ではなく、「あいすくりん」。そんな驚きの歴史が、5月9日「アイスクリームの日」に隠れている。

5月9日がアイスクリームの日になった理由

「アイスクリームの日」は1965年(昭和39年)、東京アイスクリーム協会(現・日本アイスクリーム協会)が制定した記念日だ。前年の1964年、ゴールデンウィークが明けて夏が近づく5月9日を「アイスクリームシーズンの幕開け」とし、都内の施設や病院などにアイスクリームをプレゼントするイベントを始めたのがきっかけだった。

そしてこの記念日の根っこには、明治時代の横浜で生まれた日本初のアイスクリームにまつわる、ドラマチックな歴史がある。

日本初のアイスクリームは横浜・馬車道で誕生した

1869年(明治2年)、横浜の馬車道通りにある「氷水屋」で、町田房蔵(まちだ ふさぞう)という人物が日本初のアイスクリーム「あいすくりん」の製造・販売を始めた。使われた材料は生乳・砂糖・卵黄とシンプルなもので、今で言う「カスタードアイス」に近いものだった。

気になるお値段は1人前は、現代の価値に換算すると約数千円〜8000円だ。ちょっとした外食ディナーと同じくらいの金額である。最初は値段が高すぎてなかなか売れなかったが、翌年の祭礼シーズンに初夏の陽気も重なり、「頗る繁盛を極めた」と伝えられている。

深掘り①:日本人が最初にアイスを食べたのは幕府の使節団だった

明治時代より少し前、万延元年(1860年)のこと。日米修好通商条約の批准のためにアメリカへ渡った幕府の使節団が、日本人として初めてアイスクリームを口にしたとされている。

刀を腰に差した侍たちが、見たこともない冷たい甘い塊を目の前にしたときの驚きといったら……想像するだけで面白い。その体験から9年後、横浜の馬車道で「あいすくりん」として日本人の口に届くようになったのだから、歴史というのは点と点でつながっているものだと感じる。


1匹ワイルドに手づかみ…笑

深掘り②:資生堂がアイスクリームを売っていた!?

「あいすくりん」が登場してから30年あまり後の1902年(明治35年)、アイスクリームの新たな売り場として登場したのが東京・銀座の資生堂薬局だ。

薬局でアイスを?と思うかもしれないが、これはアメリカのドラッグストア文化を参考にしたもの。現在の「資生堂パーラー」の前身となるソーダファウンテンを薬局内に併設し、アイスクリームとアイスクリームソーダの販売を開始した。当時の銀座は最先端のハイカラスポット。そこで食べるアイスクリームは、特別なお洒落体験だったに違いない。

深掘り③:「あいすくりん」という言葉の響き

「アイスクリーム(ice cream)」が日本語になって「あいすくりん」になった。明治時代には英語の外来語が独特の音で定着するケースが多く、「あいすくりん」もそのひとつだ。

ちなみに当時は「氷菓子」「氷製菓子」などとも呼ばれており、「アイスクリーム」という表記が一般化するのはずっと後のこと。今では当たり前の言葉も、最初はきっと「なんだその食べ物は?」という感じだったのだろう。

現代のアイスクリームは奇跡のコスパ

かつて8000円だったアイスが、今は100円台で手に入る。これは製造技術の発展や大量生産・流通網の整備によるものだが、改めて考えるとすごい変化だ。

今年の夏、暑さを感じながらコンビニでアイスを手に取るとき、こんなことを思ってみてほしい——「明治の人たちはこれに8000円払っていたんだな」と。そう思うと、100円のアイスがちょっと贅沢に感じられるかもしれない。

まとめ:アイスは文明開化の産物だった

5月9日「アイスクリームの日」のルーツは、明治時代の横浜・馬車道にある。日本初のアイスクリーム「あいすくりん」は1個約8000円、幕府の侍たちが異国で初めて口にした驚きの食べ物が、やがて庶民の夏の定番スイーツになった。

最初の一口を食べた人がいて、最初に売った人がいて、今の私たちがいる。そう考えると、アイスの冷たさの中に、ちょっと感慨深いものを感じてしまう。

今日は帰り道にアイスを1本買って、歴史に思いを馳せながらゆっくり味わってみよう。


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