「カクテル」って、最初はどんな飲み物だったか知ってる?
ちょっと聞いてほしい。今から約220年前、カクテルという言葉が世界で初めて「文書で初めて定義」されたとき、その内容がとんでもなくシンプルだったんだ。
フルーツジュースもシロップもない。あの華やかな見た目も関係ない。1806年にアメリカの新聞が載せた「カクテルの定義」は、こんな一文だった——
「蒸留酒に砂糖・水・ビターズを加えた、刺激的な酒である」
今のイメージとはだいぶ違うよね?でもこれが、カクテルという言葉の「正式な誕生の瞬間」だった。

5月13日がカクテルの日になった理由
1806年5月6日、アメリカのニューヨーク州ハドソンにある週刊新聞「The Balance, and Columbian Repository(バランス・アンド・コロンビア・リポジトリ)」で、「カクテル」という言葉が初めて紙面に登場した。
その号に読者から「カクテルって何?」という問い合わせが届き、翌週——5月13日号に、あの有名な定義が掲載された。これが世界で初めて「カクテル」という飲み物が文書で正式に定義された瞬間とされている。
この歴史的な出来事にちなんで、世界的に5月13日が「カクテルの日」としてバーや酒店などで認知されるようになった。日本でも2011年(平成23年)に、日本ホテルバーメンズ協会(HBA)など4つのバーテンダー団体が正式に5月13日を「カクテルの日」として制定した。
カクテルという名前、語源は謎だらけ
「カクテル(cocktail)」という言葉、英語で書くと「cock(雄鶏)+ tail(尻尾)」。これ、どう考えても飲み物と関係ないよね。実は語源については今も諸説あって、決定的なものがない。
有力説①:メキシコの少年の勘違い
18世紀のメキシコ・カンペチェの港に立ち寄ったイギリスの船員が、地元の少年がマドラー(飲み物をかき混ぜる棒)で酒を混ぜているのを見て「それは何だ?」と聞いた。少年は棒のことを聞かれたと思い込み、スペイン語で「雄鶏のしっぽ(コーラ・デ・ガジョ)」と答えた——という説。それが英語に直訳されて「cock’s tail」になったという説。
有力説②:グラスに雄鶏の羽を飾っていた
昔のバーでは、アルコールが入っていることを示すために、グラスに雄鶏の尻尾の羽根を差す風習があったという説もある。羽根のついたグラス=カクテル、という認識が広まったという解釈だ。
有力説③:競馬の「尻尾上げ」から
競馬の世界では、馬を元気づけるために生姜を使って尻尾を上げさせる「ジンジャリング」という手法があった。これを「cock its tail(尻尾を立てる)」と呼び、そこから「元気にさせる刺激的な飲み物」としてカクテルという言葉が使われるようになったという説だ。
どれが正しいかは今でも不明。この謎めいた語源も、カクテルの魅力のひとつかもしれない。

最初のカクテルは「オールド・ファッションド」の原型だった
1806年の定義「蒸留酒+砂糖+水+ビターズ」、実はこれ、今でも人気のカクテル「オールド・ファッションド」とほぼ同じレシピなんだ。ウイスキーにシュガー、ビターズを加えるシンプルな一杯。バーの定番中の定番だ。
220年前の「カクテルの定義そのもの」を、今でも普通に飲めるというのは、なかなかロマンがある話だよね。

カクテルの種類はいったい何種類ある?
現在カクテルの種類は、名前のついているものだけで3000〜5000種類あると言われている。材料が少し変わるだけで別のカクテルとして区別されるので、厳密に数えると無限に近いかもしれない。
ちなみに日本では、明治時代の欧風化の波でカクテルが伝わったものの、一般市民が飲めるようになったのは大正時代以降。昭和に入って東京や大阪でバーが増え、戦後の1950年代から一気に普及した。日本生まれのカクテルも存在していて、「雪国」「バンブー」などは日本で考案された世界的に有名な作品だ。

バーで使えるカクテル豆知識
次にバーに行くときのネタとして使える豆知識をひとつ。カクテルを注文するとき「シェイク」と「ステア」どちらで作られるか気にしたことがある?
シェイクは氷と一緒にシェイカーで激しく振る方法で、空気が入ってふわっとした口当たりになる。ステアはバースプーンでゆっくりかき混ぜる方法で、透明感とキレのある味になる。同じ材料でも仕上がりが全然違うんだ。
1806年の最初の定義に最も近いオールド・ファッションドは、ステア仕上げが正統派とされている。当時のカクテルは、現在でいうステアに近いシンプルな混合だった。

まとめ:1杯の歴史が220年分詰まっている
5月13日はカクテルの日。1806年にアメリカの新聞が「蒸留酒に砂糖・水・ビターズを加えた刺激的な酒」と定義した日から数えると、もうすぐ220年になる。
語源は謎だらけ、種類は数千種類、日本には大正時代に上陸——カクテルには意外に深い歴史が詰まっている。
今夜バーでカクテルを1杯頼んだとき、こっそり「これが220年前の定義の子孫か」と思うと、ちょっと飲み方が変わるかもしれない。



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