友達のほうが友達が多い?友情のパラドックス

○○の日
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「自分より、友達のほうが友達が多そう」と感じたことはないだろうか。交友関係の広い人ばかりが目に入り、自分だけ付き合いが少ないように思えてくる。

実はこれは、気のせいだけではない。人間関係を数学で見ると、平均的には自分の友達のほうが自分より友達が多くなる。7月30日の「国際フレンドシップ・デー」に、少し不思議な友情の数学を見てみよう。

7月30日は国際フレンドシップ・デー

国際フレンドシップ・デーは、2011年の国連総会で定められた国際デーだ。人、国、文化の間にある友情が、相互理解を深め、平和への懸け橋になるという考えに基づいている。

個人同士の仲良し関係だけでなく、違う文化や地域の人々が理解し合うことまで含んだ、大きな意味での「友情の日」なのである。

そんな友情には、気持ちだけでなく数字で説明できる面もある。社会のつながりを点と線で表す「ネットワーク」という考え方を使うと、直感に反する現象が見えてくる。

友達のほうが友達が多いという不思議

1991年、社会学者スコット・フェルドは「なぜあなたの友達は、あなたより友達が多いのか」という研究を発表した。

そこで示されたのが「友情のパラドックス」だ。簡単にいうと、ある集団で一人ひとりの友達の数を比べると、平均では「自分の友達が持つ友達の数」のほうが、「自分自身の友達の数」より多くなる。

もちろん、全員の友達が必ず自分より人気者という意味ではない。交友関係が最も広い人には、自分より友達の多い相手がいないこともある。あくまで集団全体を平均したときに起こる現象だ。

人気者は何度も数えられる

理由は意外に単純である。友達が多い人ほど、たくさんの人の「友達一覧」に登場するからだ。

5人のグループに、4人全員と友達の「つながり名人」が一人いるとしよう。ほかの4人は、その人とだけ友達だ。このグループから一人を無作為に選べば、つながり名人を引く確率は5分の1である。

ところが、誰かの「友達」を無作為に選ぶと、つながり名人は4人分の友達一覧に登場する。友達が一人しかいない人は、一覧に一度しか登場しない。結果として、つながりの多い人が何度も選ばれやすくなる。

クラスの人気者が、集合写真のあちこちに写り込んでいるようなものだ。一人しかいないのに、友達側から数えると存在感が何倍にも膨らむのである。

大きなクラスほど体験されやすい

同じ仕組みは友情以外でも起こる。例えば、大学に10人の授業と100人の授業が一つずつあるとする。授業を一つ選ぶなら、平均人数は55人だ。

しかし、学生一人を無作為に選んで「あなたの授業は何人ですか」と聞くと、100人授業の学生へ当たる可能性が圧倒的に高い。大きな授業ほど、その授業を経験している人が多いからである。

公園や海水浴場でも同じだ。混雑した場所には人が多いので、無作為に選んだ人は混雑を経験している可能性が高い。「みんなが体験した平均」と「場所を数えた平均」は一致しない。

SNSで周りが人気者に見える理由

友情のパラドックスは、SNSを見て落ち込みやすい理由の一つも説明してくれる。

つながりの多い人は、多くの人からフォローされ、投稿が共有される機会も増える。すると画面には、交友関係が広く、集まりやイベントへ頻繁に参加する人が何度も現れる。

それを見て「自分以外はみんな友達が多い」と感じても、見えている人が社会全体の平均とは限らない。つながりの多い少数の人が、画面の中で繰り返し数えられている可能性がある。

SNSは世界をそのまま映す窓というより、人の多い場所を大きく映しやすい虫眼鏡なのだ。

友達の数は友情の深さではない

この数学が示すのは、友達の数を比べると錯覚が起きやすいということだ。友達が多い人が幸せだとか、少ない人が劣っているという意味ではない。

ネットワークの計算で数えられるのは、誰と誰がつながっているかまでである。一緒にいて安心できるか、困ったときに助け合えるか、何年ぶりでも自然に話せるかという友情の中身は、単純な人数にはできない。

「友達は何人?」という質問は答えられても、「友情は何グラム?」とは測れない。数は関係の広さを表せても、深さまでは表せないのである。

比べて落ち込む前に数学を思い出そう

周囲の人が自分より人気者に見えるのは、性格や努力の差だけが理由ではない。友達が多い人ほど観測されやすいという、ネットワークの仕組みそのものが関係している。

7月30日に誰かへ話すなら、こう伝えてみよう。「平均すると、友達は自分より友達が多く見えるように数学でできているんだよ」。人数を比べて寂しくなったときは、友情のパラドックスを思い出そう。大切なのは一覧の長さではなく、その中に顔を思い浮かべられる相手がいることなのだ。

参考資料

United Nations「International Day of Friendship」
ユネスコスクール「国際フレンドシップ・デー」
Scott L. Feld「Why Your Friends Have More Friends Than You Do」
MIT BLOSSOMS「The Friendship Paradox」
PNAS「On the friendship paradox and inversity」

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