8月8日はそろばんの日!暗算で珠が見える不思議

豆知識
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電卓の時代に、なぜ「そろばん」が現役なの?

8月8日は「そろばんの日」だ。日付の由来は、そろばんをはじく音の「パチ(8)パチ(8)」。まるで昔からある語呂合わせのようだが、公益社団法人・全国珠算教育連盟の資料によると、1968年に8月8日がそろばんの日と決められた。

スマートフォンに「計算して」と頼めば、すぐ答えが出る時代。それでもそろばんは学校で教えられ、毎年8月8日には日本一を決める大会まで開かれている。いったい、木の枠と珠だけの道具に何が隠れているのだろう。

そろばんは「数字を触れる形にした道具」

現在、日本で一般的なそろばんは、1本の桁に上の珠が1個、下の珠が4個ある。真ん中の横棒に近づけた珠だけを数え、上の珠は5、下の珠は1を表す。

例えば「7」なら、上の5の珠を1個、下の1の珠を2個、横棒へ近づける。数字の7を紙に書く代わりに、「5と2」という形で目の前に置いているわけだ。

さらに、隣の桁へ移れば10倍になる。一の位、十の位、百の位という十進法の仕組みが、そのまま道具の形になっている。繰り上がりも「下の珠を全部戻し、隣の珠を1個動かす」と目で追えるので、計算の中身が見えやすい。


数字は友達

驚きの深掘り3選

① 昔のそろばんは、今より珠が多かった

全国珠算教育連盟の歴史資料によると、古い中国のそろばんには上の珠が2個、下の珠が5個ある形式があった。日本でも長く、下に5個の珠がある「五つ珠」が使われていた。

現在よく見る「上1個・下4個」の四つ珠が広まったのは、余分な珠を減らして十進法の計算をしやすくするためだ。つまり、そろばんも完成した姿で昔から存在したのではなく、使いやすさを求めてアップデートされてきた計算機なのである。

② そろばんの歴史は、日本の算数の歴史でもある

そろばんは室町時代ごろに中国から日本へ伝わったとされる。現存する日本最古のそろばん書として知られるのが、毛利重能が1622年に著した『割算書』だ。

明治時代の1873年には小学校の算術に珠算が採用され、1935年には尋常小学校で必修となった。現在の小学校学習指導要領にも、そろばんを使って数の仕組みや足し算・引き算を理解する学習が含まれている。

そろばんは単なる懐かしい道具ではない。電卓が答えを表示する機械なら、そろばんは答えへ進む道筋を珠の動きで見せる教具でもあるのだ。

③ 達人は頭の中に「見えないそろばん」を置く

フラッシュ暗算の選手が、数字を見ながら指だけを小さく動かしていることがある。あれは適当に空中をはじいているのではない。頭の中にそろばんを思い浮かべ、その珠を動かして計算しているのだ。

そろばん熟練者を調べた脳画像研究では、言葉だけで計算するというより、珠の位置を思い浮かべる視覚・空間的な処理を使うことが示されている。

ここで注意したいのが、「そろばんは右脳だけを鍛える」といった言い切りだ。脳は左右が協力して働くため、そんなに単純には分けられない。研究から言えるのは、練習によって数字を珠の配置として扱う独特の計算方法が身につく、ということだ。

そろばんを使わずに体験できるミニ実験

まず両手を机の上に置き、右手の親指を「5」、ほかの指を「1」だと想像してみよう。「7」なら親指と2本の指、「9」なら親指と4本の指だ。

次に7へ3を足す。指を3本増やす代わりに、いったん右手をゼロへ戻し、左手の「十の位」を1つ立てる。これは、そろばんの繰り上がりと同じ考え方である。

数字だけを見ると難しそうな計算も、珠や指の動きに変えると急に形が見える。子どもに繰り上がりを説明するときや、頭の体操をしたいときに試せる小さな実験だ。

まとめ:そろばんは「答え」より「数字の動き」を見せる

8月8日がそろばんの日なのは、「パチパチ」という音にちなんでいる。しかし、面白いのは由来だけではない。

上の珠は5、下の珠は1。桁が変われば10倍。単純な仕組みなのに、足し算から複雑な計算までこなし、熟練すると道具がなくても頭の中で珠を動かせるようになる。

そろばんは古い電卓ではなく、数字を目で見て、指で触り、頭の中で動かすための道具なのだ。8月8日には「パチパチ」の音を思い出しながら、身近な数字を珠の動きに変えてみてはいかがだろう。

参考資料

※本記事は公的機関・珠算教育団体・査読論文の情報をもとに、一般向けにわかりやすくまとめています。

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