甘くて、冷たくて、食後に出てくるスイカ。どう見ても果物の仲間に思えるが、農林水産省の分類では「野菜」として扱われている。
しかも、スイカの故郷は水の豊かな土地ではなく、乾燥したアフリカ南部とされる。7月27日の「スイカの日」に、身近なのに意外と知らないスイカの正体を見てみよう。

7月27日がスイカの日なのはなぜ?
スイカの日の日付は、見た目と語呂合わせから生まれた。スイカの黒いしま模様を「綱」に見立て、7を「な」、27を「つな」と読んで、7月27日を「夏の綱」としたのである。
「スイカ」そのものの音を数字にした記念日ではないところが面白い。スーパーでスイカを見かけたら、しま模様をロープだと思って眺めてみると、急に語呂合わせが分かりやすくなる。
スイカは果物ではなく野菜?
スイカをデザートとして食べる私たちの感覚では、スイカは果物である。しかし、園芸や農業の分類では事情が違う。
農林水産省では、スイカ、メロン、イチゴのように、一年で育って実をつける草の仲間を野菜として扱っている。一方、リンゴやミカンのように、木に何年も実をつけるものは果樹として扱う。
そこでスイカについた呼び名が「果実的野菜」だ。育て方や統計では野菜、食べ方では果物という、二つの顔を持っているのである。
「スイカは野菜と果物のどちら?」と聞かれたら、答えは「分類の目的によってどちらにもなる」。白黒つけられないのではなく、見ている立場が違うのだ。

故郷では天然の水筒だった
スイカの原産地は、アフリカ南部とされる。農林水産省によると、西アジアや中央アジア、ロシア南部などの乾燥地帯では、水分を得るためや家畜の餌としても利用されてきた。

英語の「watermelon」という名前どおり、スイカは水分をたっぷり含む。現在のような甘いデザートになる前から、暑く乾いた場所を生きる人や動物を助ける、丸い水筒のような存在だったのである。
日本には中国を経て、江戸時代の初めごろに伝わったといわれる。江戸時代の農業書『農業全書』にも品種が紹介されており、意外に長く日本の夏を支えてきた。
塩をかけると甘く感じる理由
スイカに塩をかける食べ方は、昔ながらの習慣に見えるが、味覚の仕組みに合っている。
少量の塩を先に感じると、その直後に来る甘さが目立つ。反対の味を組み合わせることで一方の味が強く感じられる「対比効果」である。
ポイントは、塩味がはっきりするほど大量にかけないこと。ほんの少し振るから、甘さを照らすスポットライトのように働く。かけすぎれば、ただのしょっぱいスイカになってしまう。
たたけば甘さが分かる、は本当?
スイカ売り場で、玉をポンポンとたたきたくなる人もいるだろう。音は実の状態を知る手掛かりになるが、音だけで甘い一玉を選ぶのは、経験者でも難しいとされる。
生産者は、花が咲いた日を記録し、品種ごとの日数や積み重なった気温などを見ながら収穫時期を判断する。つまり、プロは一回たたいて決めているわけではない。
店頭で確実に中身を見たいなら、カットスイカを選ぶのも立派な方法だ。果肉の色や状態を直接確認でき、冷蔵庫へ入らないという「大玉あるある」も避けられる。

四角いスイカも本当にある
香川県善通寺市には、透明な容器に入れて育てる「善通寺産四角スイカ」がある。1965年ごろから、形を整える容器や栽培技術が地域で開発され、1975〜1978年ごろに完成したとされている。
丸くなるはずの実を立方体へ育て、しま模様まで美しく見せる。自然の力と人間の工夫が合体した、食べ物でありながら工芸品のようなスイカだ。
スイカを見る目が少し変わる日
スイカは、食卓では果物、農業では野菜、乾燥地では水分源、そして時には四角い名産品にもなる。いつもの一切れにも、これだけ多くの顔が隠れている。
7月27日はスイカの日。「スイカはデザートだけど、農業の分類では野菜」よくどっちだったか混乱してしまうけど、ぜひ覚えて帰ってほしい。
参考資料
日本educe食育総合研究所「7月27日はスイカの日!」
農林水産省「野菜の区分について教えてください」
農林水産省「アフリカ南部からきた農産物」
農林水産省「2018年8月号 文字情報」
タキイ種苗「スイカの収穫適期」
農林水産省「善通寺産四角スイカ」


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