毎月23日は「ふみの日」。数字の2を「ふ」、3を「み」と読む語呂合わせで、手紙に親しむ日とされている。
なかでも7月23日は特別だ。昔の月名で7月は「文月(ふみづき)」なので、文月のふみの日、いわば“ふみ”が二重になる日なのである。スマホなら数秒で連絡できる今だからこそ面白い、手紙と郵便の雑学を見ていこう。
ふみの日は毎月ある
ふみの日は、1979年に当時の郵政省が毎月23日を記念日として定め、手紙に親しむ活動を全国へ広げたことから始まった。
「ふみ」には「文」、つまり手紙という意味がある。23を「ふ・み」と読ませる分かりやすい語呂合わせだが、7月は昔から文月とも呼ばれる。そのため、12回あるふみの日の中でも、7月23日は「文月ふみの日」として特別に扱われてきた。
同じ1979年の7月23日には、ふみの日にちなんだ特殊切手も発行された。その後も7月になると、手紙を題材にした楽しいデザインの切手がたびたび登場している。記念日を作るだけでなく、実際に貼って送れるものまで用意したところが郵政省らしい。
ところで「文月」の由来は手紙なの?
文月は旧暦7月の呼び名だ。「文」という字が入っているので、手紙を書く月だったから文月になったと思いたくなるが、語源にはいくつかの説がある。
よく知られているのが、七夕に書物を開いて風にさらす行事から「文披月(ふみひろげづき)」と呼ばれ、それが短くなったという説。また、稲穂がふくらむ時期を表す「穂含月(ほふみづき)」から変化したという説もある。
つまり、文月の「文」が最初から手紙を意味していたと断定はできない。それでも、文月と23日の語呂が見事に重なったことで、7月23日は手紙を書く日として覚えやすくなった。由来が一つに決まっていないところも、日本の古い月名の面白さである。
日本最初の郵便ポストは赤くなかった
手紙といえば、街角の赤い郵便ポストを思い浮かべる。しかし、日本で1871年に郵便事業が始まったころのポストは、今とはまったく違う姿だった。
最初のポストは、脚の付いた台に四角い木箱を載せたもの。現在のような赤い円柱形ではなかったのである。
鉄製の赤い円柱形ポストが試験的に置かれたのは1901年。木製より火事に強く、街中でも目立ちやすい形と色だった。私たちが「ポストといえば赤」と感じる姿には、郵便制度が始まってから約30年の試行錯誤が隠れている。
最初の切手には龍が描かれていた
日本で最初の郵便切手も、郵便事業が始まった1871年に発行された。名前は「竜文切手」。中央に向かい合う二匹の龍が描かれていたことから、この名で呼ばれている。
現在の切手には動物、花、キャラクター、風景などさまざまな題材が使われるが、最初は龍だった。小さな紙の中に、その時代が大切にした図柄や技術が詰まっている。古い切手が収集の対象になるのは、料金を払った証明だけでなく、小さな歴史資料でもあるからだ。

手紙は「返事を急がせない連絡」
メッセージアプリは、送った瞬間に相手へ届く。便利な一方で、読んだかどうかや返事の速さが気になることもある。
手紙は、書く、切手を貼る、ポストへ入れる、配達されるという時間が必要だ。その遅さは弱点に見えるが、相手に返事を急がせないという良さにもなる。誕生日のお祝い、お礼、久しぶりの近況など、すぐに答えが必要でない気持ちとは相性がよい。
長い文章を書く必要もない。「元気にしてる?」「この前の話、楽しかった」「また会おう」の三行でも、手書きならその人らしさが残る。字がきれいかどうかより、わざわざ書いたこと自体がメッセージになるのだ。
7月23日は一通だけ書いてみよう
手紙というと、便箋を何枚も埋める立派な文章を想像しがちだ。しかし、はがき一枚や短いカードでも十分である。旅先で買った絵はがきに近況を一言書く、贈り物に小さなカードを添えるだけでもよい。
7月23日は、文月と23日が重なる“ふみが二重の日”。こんな日は、ペンを手に取り、手紙をしたためてみるのはどうだろうか?
手書きの文字には、その人だけのクセや温度が残る。だからこそ、何年後に読み返しても、書いてくれた人や、その時の景色まで鮮明によみがえる。デジタルでは残しにくい「思い出」まで、一緒に届けてくれるのが手紙の魅力なのかもしれない。




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